いびきの恐怖~睡眠時無呼吸症候群

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いびきの恐怖~睡眠時無呼吸症候群

いびきをかいて眠っている・・・ 寝室をともにしている方にしてみれば「うるさくて眠れない」のに、「自分だけ気持ちよさそうに・・」と腹立たしく思いながらも「ぐっすり眠っている」と連想されているのではないでしょうか。 でも、眠れないついでにその「いびき」をよく聞いてみてください。 リズム良く鳴っていた轟音が時々ピタッと止まっていませんか? 少しの静寂ののち、また轟音が・・・、また止まる、また始まる。 そんな繰り返しではありませんか? だったら、睡眠時無呼吸症候群の可能性が大いにあります。 ということで、今回は「睡眠時無呼吸症候群」のお話です。 平成15年2月26日に発生した新幹線の運転手の居眠り事故で「睡眠時無呼吸症候群」という言葉がマスメディアにのり、この病気の存在がだいぶ国民に知られるところとなりました。 あれから5年、覚えていらっしゃいますか? 睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome;SAS)は、「いびき(snoring)や日中の過度な眠気(excessive daytime sleepiness EDS)などを自他覚症状とし、睡眠中に10秒以上の上気道閉塞あるいは中枢性呼吸機能調節障害により喚起(気流)停止のエピソードが、低酸素症(SpO2低下)や覚醒反応を一時間に少なくとも5回以上反復して起こす症候群」と定義されています。 簡単に言いますと、SASの二大症状は、■大きないびきに伴う夜間の呼吸停止と、■日中の過度の眠気(EDS)です。 その他の症状としては、疲労感、集中力の低下、熟睡感の欠如、中途覚醒、夜間頻尿、口渇、胸焼け、胃食道逆流などがあります。 SAS患者の7割が肥満(BMI≧25 BMI= 体重(Kg)/身長(m)×身長(m))で、大多数が高血圧、糖尿病、高脂血症を合併する生活習慣病です。 SAS患者は、1晩に30回以上、重症例では何百回も、短い睡眠、10秒以上の無呼吸(気流停止)、覚醒反応、呼吸再開(換気)というエピソードを繰り返します。 頻回な無呼吸後の覚醒反応は睡眠構造に異常を生じさせ、日中の過度の眠気(EDS)を引き起こします。このEDSは睡眠時間の不足とともに問題眠気となり、居眠り運転事故や産業事故の原因となります。 また頻回な無呼吸は、急性的には低酸素血症、高炭酸ガス血症、血管痙攣、ならびに不整脈(徐波性・呼吸性)をきたし、慢性の合併症として高血圧、肺高血圧、そして死亡(循環器系疾患)率を高める大変恐い疾患なのです。 たかがいびき・・と軽く考え放置していた方も、ここまで読み進めてくると、「大変!治療しなくては・・」と決意したことと思いますので、次に治療法について紹介したいと思います。 鼻閉などの耳鼻咽喉科疾患がなければ、現在の第1選択肢は鼻マスクを使用したCPAP療法です。これは、鼻マスクを通して一定の陽圧を持続的に流し呼吸をさせる装置をつけて寝るものです。平成10年に医療保険適用が承認されました。 また、SAS患者の7割が肥満ですから、合わせて減量療法がとても大切になってきます。管理栄養士などの指導の下、食事療法と運動療法にて減量を行います。 また、症例によっては耳鼻咽喉科的な鼻閉の治療と肥大した口蓋扁桃の摘出や口蓋垂(のどちんこ)形成術や、下顎前方移動術などの外科的治療法も有効です。 そして、平成16年4月に保険適用が承認された非侵襲的治療法として、口腔内装置(OA:Oral Appliance (スリーブスプリント))があります。 いびき、閉塞性無呼吸は仰臥位で発生しやすく、これは、睡眠時重力の影響で下顎が後退し舌根が落ち込み、開口しがちとなり、気道が狭窄することによります。ですから、側臥位で寝ることも予防の1つですが、寝返りにより仰臥位になり無呼吸を発症し覚醒してしまうこともしばしばあります。 そのため、下顎を前突させて上気道を拡大し、さらに舌筋の活性化により上気道の開放を維持し無呼吸の発生を防止する口腔内装置の使用は優れた治療効果を有します。 山下歯科医院では、この口腔内装置(OA)によるSASの治療を取り扱っております。 いびきや睡眠時の呼吸停止、日中の過度の眠気等の症状の見られる方は、お気軽にご相談ください。 SASが疑われる症例については、問診及び簡単な検査の後、専門医(日本睡眠学会認定医)へ紹介をいたします。専門医療機関と連携して安全かつ効率のよい診療体制をとっていきます。 たかがいびきと侮るなかれ・・・
< 2008/10/25 >

市民公開講座「糖尿病と歯周疾患」

11月16日(日)に平成20年度浜松市歯科医師会市民公開講座「糖尿病と歯周病」を開催します。 会場はアクトシティー浜松コングレスセンター41会議室、時間は13:30~15:10 です。 厚生労働省が最近行った糖尿病実態調査から日本人の糖尿病患者現在740万人、境界型を含めると2000万人にのぼるといわれています。成人の5~6人に1人が糖尿病あるいは、その予備軍であることが明らかとなりました。また、歯周病は、成人の半数以上が感染しているといわれ、人類が誕生してから今日までで一番感染者の多い感染症としてギネスブックに載っています。 どちらも生活習慣病という側面を持ちますが、最近の研究で、糖尿病と歯周病に密接な関係があることが分かってきました。すなわち、糖尿病は歯周病を悪化させ、歯周病は糖尿病を悪化させる悪い連鎖があるということです。 つまり、糖尿病、歯周病を改善するためには、どちらの治療も連携して同時に行う必要があるのです。しかしながら糖尿病患者、歯周病患者の多くの人はこの関連性についてあまり分かっていないのが現状です。 !糖尿病が歯周病にもたらす影響 糖尿病患者においては、付着歯肉の喪失(アタッチメントロス)、歯周ポケットの深さ(歯を支える骨が溶けて吸収してしまう病状)、歯肉炎(血や膿が出やすくなり腫れたりする病状)が進行します。 糖尿病患者では歯周病に関する因子として、感染に対する抵抗力の低下に伴う創傷治癒の遅れや、感染、口腔内細菌による糖濃度の阻害など、これらの因子の相乗効果により、歯周病の進行に対して悪影響を及ぼします。 !歯周病が糖尿病にもたらす影響 歯周ポケット(歯と歯茎の間)に細菌が増殖すると細菌そのものや細菌が産生する毒素を排除する働きが始まります。いわゆる生態防御反応です。 生態防御に関わる細胞には、好中球、単球、マクロファージそしてリンパ球などがあります。これらの細胞は、多種多様な炎症性サイトカインを産生します。炎症性サイトカインの1つであるTNF-αが、インスリン抵抗性を高める作用があると分かってきました。 つまり歯周病の悪化に伴い炎症性サイトカインが増えインスリン抵抗性を高め結果、糖尿病を悪化させてしまうことになります。 (市民公開講座パンフレットより抜粋) きくち内科クリニック院長 菊池範行先生による「糖尿病」の講演と浜松市歯科医師会成人歯科保健部 貴志知宏先生の「歯周病」の講演が予定されています。 医科と歯科双方の立場からの有意義なお話が聞けること間違いなしです。 パンフレットは当院にもご用意してますので、ご来院時にはご自由にお持ちください。 では、皆様のご来場を心よりお待ちしております。
< 2008/10/20 >